| 理事長対談 |
現在のNPOをめぐる問題点やこれからの課題について
サンデープロジェクトでもお馴染みのインサイダー編集長高野孟氏と
NPO法人あきらめない理事長前山亜杜武との対談が行われました。
親から虐待を受けた子供たちを保護する児童養護施設への支援活動をしている。
ときに目を潤ませながら熱く語る二人の対談は一時間に及んだ。
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高野氏:NPO法人あきらめない、というのは名前もユニークですね。
実は前山さんがこういった社会的な活動をしていると初めて知りまして。
なぜこういう活動をするようになったのですか?
前山:実は9年前のクリスマスに養護施設に行ったことからすべてが始まりました。
私たちがサンタの格好をして子どもたちに接していくうちに「抱っこして」「私も私も」
と離れないようになりまして、そのしがみつき方が本当に愛情が足りていない
ということを実感させられるものでした。そのときに涙を子どもたちに見られないよう
に隠しながら決意したのです。これからは毎年、子どもたちのもとを訪れようと。
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高野氏:その施設にいる子どもたちは、
なぜ親と一緒にいられない境遇になってしまったのでしょう。
なぜこういう活動をするようになったのですか?
前山:もともとは戦後間もないときに教会が戦災孤児を保護するために設立されたんです。
でも、現在は施設にいる3分の2の子どもたちが親から虐待を受けて
保護されてきたというのが実情です。小さい頃から一番信頼できるはずの親に殴られたり、
火傷を負わされたりしていたせいか大人への不信感や警戒心はやっぱり強いですね。
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高野氏:それでほっとけなくて、毎年行こうとなったのがNPO活動の始まりなんですね。
9年前に見事に子どもたちの心を開いていますし。親代わりになるということになりますね。
前山:いや、親代わりというよりかはまずは友だちという関係です。
私たちの活動のなかではそれぞれの子どもの担当を決めていこうと考えてます。
手紙のやりとりや話を聞いたり、一緒に野球を見に行ったり
遊びに行くことから始めようと思っているのです。
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高野氏:実際にやっていくのは難しいかもしれませんね。
親から虐待を受けたということで心に相当な傷を持っているわけですから。
活動を始めたなかで感じる問題点はどのようなことがありますか?
前山:そうですね。やはり心を開くというのはとても難しいです。
でも、プロの意見を聞きながら民間でなければできないことをやっていきたいと思います。
虐待というのは年中、新聞の見出しに出ているのに
その実態はあまり知られていないというのも問題です。
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高野氏:そうすると広報活動も重要になってきますね。
それに虐待を受けているすべての子どもたちが施設に入れているわけではないですから、
その隠された部分をどうするのかも課題となってくる。
前山:たしかにおっしゃるとおり見えている部分は氷山の一角でしかないですね。
虐待を受けているのに親の目が怖くて「虐待なんてされていない」という子どももいますし、
親が子どもを離そうとしないケースもたくさんあります。これを説得するというのはとても難しい。
それに親が教育だと思ってしまっていることもあります。
親から愛情を受けずに育った人間が自分も親になって
子どもに虐待をしてしまうという悪循環もあります。
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高野氏:そういった意味では親も被害者なのかもしれませんね。
前山:そうですね。NPOのなかにはそうした虐待をしてしまう親たちをケアするための団体もあるので、
今後はそういった組織ともコンタクトをとって連携していきたいです。
あとは施設の職員たちの待遇面も考えなきゃならない。子ども一人当たりに支給されるお金もあれば良いのですが。
なかなかこのお金にまつわる問題も厳しい状況ですね。
高野氏:NPOでお金というとひとつ問題があるのが税制もそうですね。
欧米の多くの国は基本的に非課税なんですよ。でも、日本の場合にはその条件が狭められていて。
多少、法律の改正などによって非課税が認められるケースが増えてきたけどまだまだ。
役所が認めたものだけが税制上、優遇するという状況にすぎない。
実際には社会的貢献度の高い活動をしたいと思う社会企業家や若い人たちのなかにも大企業に入るのではなくて、
そうした活動をしていきたいと思う学生も少なくないのに。諸外国からまだ遅れてしまっている。
税制を悪用しようとする企業を警戒しすぎている。
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前山:私たちの場合だと、NPO法人立ち上げのご案内をしたときに、
元々が事業家ということもあるせいか「税金逃れなんじゃないか」と言われたことがあります。
そうしたことを思われないためにも収支をガラス張りにしていかなければならないですね。
高野氏:NPOが利益を上げてはいけないと勘違いしている人が多いんですが、
利益を自分たちで分配してはいけないということなんです。
アメリカなんかではカリフォルニア州の統計で州のGDPの10%がNPOのものなんです。
収益をあげたときはそれで事業を拡大していけば良いわけで、そうすると経済の中で
重要な一つのセクターになっている。そこまで欧米ではNPOの存在が大きなものになってきている。
それが成熟した社会の当然あるべき姿。日本はまだそこまでいっていない。
政治団体や宗教法人をうまく使って、税金逃れをしているというケースが
多々あるから同列に思われてしまう。日本人そのものが成熟社会にふさわしい
自立性を持っていないということの現われでもありますね。
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前山:まずはこういった実態が日本のなかであるのだということを
知ってもらうことから始めなければなりませんね。
ずっと活動を続けていくなかで巣立っていった子どもたちがいずれ、
またこうした活動につながっていき、ずっと持続させていければ良いと考えてます。
微力ですが少しでも活動を広めていきたいです。
高野氏:ぜひ、がんばってください。
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